フライホイールウェイト有り無しでのクランク角速度ばらつきを測定してみた

YZ純正CDIには、ピックアップ第一波と第二波の間隔の時間と、第一波から次の第一波(要は1回転)の時間を比較することで、角速度ばらつきによる点火時期ばらつきを補正するような仕組みがあることはわかっている。

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そしてこの仕組みはTCDIにもすでに実装済

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というわけで以前の記事で書いたように、角速度のばらつきがあるとすれば、これはフライホイールウェイトのあるなしでも結構傾向が変わるんじゃないかという予想をいよいよ確かめてみる。

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純正フラホ。ここに自作ウエイトを焼き嵌めしていく。

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ウエイトはIHクッキングヒーターで加熱。料理にも使えるし便利。f:id:TUTC_Mitsukesibu:20250413173058j:image

ぴたりとはまった。

焼き嵌めで作る都合上、一度はめてしまうと二度と取り外せないので、事前にフラホウェイトなしの場合のデータは取っておく必要がある。取り方としては、CDIで取得しているクランク1周時間と、ピックアップ第一波検知から第二波検知までの時間を、UARTでPCアプリに転送して、それをエクセルにコピペしてグラフ化するというやり方を取った。

結果はこちら。横軸は回転数で、縦軸がピックアップ第一波と第二波の間の時間を、クランク1回転時間で除して、そこに360°を乗ずることで算出した、ピックアップ第一波と第二波の角度(間隔)である。これを見る限り、どちらのデータも2000回転以下となると、PU1からPU2に至るまでに大幅に角速度が小さくなるようで、算出した時間が極端に大きくなる傾向があることが分かる。そして3000回転を超えたくらいでほぼ一定の値に収束して、だいたい32.5度くらいに安定する。フラホの突起の長さという機械的な寸法から実測したPU1-2間の角度は33°程度なので、おおむねこの辺りで一致するようだ。また7000回転を超えると再び角速度が遅くなりそうな傾向にも見えるが、n=1のデータだしこの辺は要検証。

またフラホウェイトがあろうがなかろうが、PU1-2間の時間はそこまで変化しているようには見えない。また1800rpm近辺でフラホウェイトがある場合のデータで、31°から35°くらいまでかなり広範囲でデータがばらついているのが分かるが、これはこの辺りの回転数だとそもそも毎回うまく燃焼できないので、そのためによるばらつきと思われる。これはたまたまその回転数のデータが複数取れたからこうなっているけど、もう少し長時間データを取ってみたらほかの回転でもこれくらいのばらつきが出る可能性はある。今回は騒音を気にしながらデータを取ったので、空ぶかし1回分しかデータは取れていない。

想像していたよりフラホウェイトが角速度に与える影響はなかったけど、そもそも低回転と高回転で、PU1-2間の時間がかなり変化することが分かったのは大きな収穫。1500rpm以下は強制的に第二波で点火するのでいいけど、1500rpmだとPU1-2間角度を36°、3000rpmでは33°と認識していることになるので、3°あまり認識が変わることになる。つまり1500-3000の間で、仮に固定10度で点火するようなマップを書いてあったとしても、1500だとそれより3度早い13°で点火してしまう。3000回転以下の特性を作りこみたいエンデューロレーサーでこれはちょっと嫌なので、やっぱり角速度ばらつき補正は入れてよかった。