ランクル70 BJ73 圧縮圧力測定

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ディーゼル用のコンプレッションゲージを手に入れたので圧縮圧力を測ってみました。箱は年季が入ってますが使われた形跡がないので、認証工具として用意されたのち仕舞い込まれていたものかも知れません。


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1番
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2番
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3番

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4番

規定値は30kgf/㎠で下限値は20kgf/㎠、バラツキ2kgf/㎠以内

全体的にお疲れ気味の様ですが3番が特に低いのが気になります。

ちなみにエンジンオイルは出光マルチランナー 10W-30です。

 

フォークリフト修理の仕事をしてた時に、ワコーズのフォアオイルという圧縮を復活させる添加剤が結構効果があった思い出があるので、気休めに入れてみることにしました。フォアオイルはもう廃盤だったのでエンジンパワーシールドという漏れどめ兼圧縮復活剤みたいなやつを購入しましたが、よくよく調べてみるとクイックリフレッシュがかつてのフォアオイルに相当するようでした。まあ買ってしまったので仕方ないと諦め今回はこれで行きます。ピットワークのNC81も信頼できる人がお勧めしていたので、次はそちらを試してみてもいいかもしれません。

 

投入後300km走ったのちに再び圧縮圧力を測ってみました。


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1番
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2番
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3番
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4番

3番の圧縮が復活しましたが他はほぼ変わらず。ということはリングの摩耗により圧縮が落ちているのではなく、バルブ周りから漏れがあるのかもしれません。また前回の測定も3番だけ何かミスしただけかもしれませんが、まあとりあえずこんなもんでしょうということで、今回はお開き。

 

ちなみに走行距離は166000kmです。

 

ランクル70 BJ73 噴射ノズルOH

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噴射ノズルを電装屋さんにOHしてもらいました。

最初部品商に行ってノズルが出るか聞いたら廃盤でした。ダメ元で電装屋さんに行ったら「BOだけど出るよ」との事だったので早速注文。ノズルテスターも持ってるけど、噴射圧測ってまたシムを頼みにいくのも面倒だし、良い感じの電装屋さんだったのでOH丸ごと頼むことに。BJ70, BJ73の3Bオーナーはまだ諦めなくて大丈夫。


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当たり前だけどピカピカ


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外したノズル
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4番に着いてたノズルのみやたら煤まみれ。電装屋さん曰く噴射状態が悪かったのでは?とのこと。

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料金はこんな感じ。トヨタで部品頼むとおそらく2倍はする(どのみちもう出ないけど)ので、かなり助かる。

エアコンや電気関係のみならず、ディーゼルの噴射ポンプ、ノズル関係のご用命はお近くのデンソーサービス店へ。

https://am.denso.com/maintenance-search/

こちらの検索で「ポンプ修理」が出来ると書いてあるお店なら間違いないと思います。

 

残念ながら走りの変化は特に感じられませんでしたが、これで燃費が良くなると嬉しいです。

現状燃費 

街乗り&通勤片道12km 7.5km/L

高速 8.5-9.0km/L

道長距離 9.0-10.0km/L

 

 

技能検定 機械加工(マシニングセンタ作業)1級の内容について

2023年8月に実施された国家技能検定 機械加工(マシニングセンタ作業)1級に合格したので、備忘録がてら試験の内容について書いてみます。

今は加工からは離れていますが、メーカーでアルミの加工製技として4年働いた経験があったので、その腕試しとして受けてみました。

実技試験

課題1

穴の空いた5種類のワークを渡されます。これらのワークがドリル、エンドミル、リーマ、ボーリング、ローラーバニシングのどの加工法で加工したかを目視で判定する必要があります。普段から各加工がどんな加工面になるか見ていれば楽勝だべと思っていたのですが、意外と悩みました。ドリルとローラーバニシングは一番面が粗いのと、一番面がきれいなのを選べばいいのですが、残りはあまり自信なかったです。残り3つで一番目が綺麗で、らせん状の目もない物を最初はリーマと判断したんですが、よくよく見るとエンドミルでコンタリングしたような痕がありました。残り二つがどうみてもリーマで加工したにしては粗すぎるような気がしてかなり悩んだのですが、最終的に粗さは気にせず跡目だけ見て回答を書きました。

 

課題2

正面フライスで挽いたワークを渡されて、目視(触診)で粗さを測定するので事前に粗さ標準片をカリカリ触っておくのが良いと思います。自分は仕事で3.2Z~25Zくらいまではシャーペンでカリカリして判別してたので、イキってそのまま受験しました。

触った感じ6.3Zか12.5Zくらいと判別したのですが、目標粗さが8μmだったので、現物は12.5だろうなということでそれをもとに必要送り速度を計算しました。

 

課題3

同じ材料を2種類の加工条件で加工した際の粗さ曲線が示されるので、ダイヤ、CBN、超硬、サーメット等どのチップで加工したか判断する問題です。今回は材料はアルミで、断面曲線も非常に綺麗に周期的な曲線を描いていたので、アルミをCBNで削るとかいうおかしな組み合わせで加工したわけではないことはすぐわかり、なおかつ慣れ親しんだアルミの断面曲線だったので、加工条件を見なくても答えが分かるレベルでした。

 

課題4

練習もしませんでしたが特に難しいことはないです。マイクロメーターを使えて、エンドミルのどこを測るか理解していれば問題ありません。

 

課題5

実技で一番鬼門なのはこれでは?と思います。やることは穴の深さと径をデプスマイクロとシリンダゲージで測るだけなのですが、シリンダゲージの段取り入れて5分で測定しなくてはいけないので時間がありません。シリンダゲージもデプスマイクロも使い慣れているので測定自体は問題ないのですが、普段は径ごとにセットされたシリンダゲージをマスターリングでゼロセットしてから使うため、ノギスでラフ測定→マイクロメーターをセット→シリンダゲージを段取りするという一連の流れは体験したことがなく、2分以内で出来るよう練習しました。しかしここまで準備しても本番では結構まごつきました。答えなしにならないよう、本番では深さから測ったほうが良いと思います。

 

課題6

主軸とインデックスの心出しをします。設備を使う実技はこれだけで、一番配点が大きいといわれていますが真相はわかりません。B軸にイケール治具を付けた横マシをメインで触ってきたので、普段慣れている機械ならちょろいのですが、試験場の機械だとどうなんだろうとかなり不安がありました。ただ試験1,2週間前に下見の機会があり、そこで設備の実物と操作方法、なんなら心出しのやり方まで教えてくれました(いいのか?)。ちなみに受験地は宮城県で、会場は職業能力開発大学校でした。設備はマキノの40番の縦マシで、インデックスは手動です。手厚い下見のおかげで本番でも2回測る余裕を残して回答できました。

 

実技試験(計画立案等作業問題)

実技試験とは言うものの、ここからはペーパーテスト。ちなみに1日目に職業能力開発大学校で実技試験、2日目午前に計画立案等作業問題と学科試験を職業能力開発協会で受験するという流れでした。

試験内容は例年とほぼ変わらず。

鬼門はこの加工順を決める問題化と思います。年によってはリーマ下穴をタップの前に加工するのが正解だったり、タップ後に加工するのが正解だったりするので勘弁してほしい。加工順はバリがどっちに立つかとか、加工時間をぎりぎりまで削るかとか、切削タップなのか転造タップなのかとか、刃具寿命がうんたらかんたらとか考えると結構問題の正解とは違ったりするので、試験の求める正解を過去問で勉強しておく必要があります。

あとは最後のNCプログラムの間違いを見つけるやつですかね。手打ちでGコードをすらすら読み書きできる人なら普段もデバッグの時にやってる作業なのでまず大丈夫ですが、CAMでしか扱っていない人は難しいかもしれません。ただデバッグの時にミスを見つける場合、LCDに表示される残移動量や、実際の動きを見てブロックの指令がおかしいことに気が付くのがほとんどなので、プログラムだけ見てミスを見つけるのは案外気づかないこともあります。穴あけとかでのG00とかG01のモーダルコードを省略する関係のミスは結構見落としがちです。あとはこの画像にある固定サイクルのG99とG98ですかね。見つけやすくかつ頻出なのは座標指令値の間違いとか固定サイクルG81~G84の間違いとかです。

学科試験

公開されている過去問を全部解いていればまず受かると思います。今回もトリッキーな問題は出ませんでした。自己採点で96/100点。65点取れてればよいので楽勝。

技能検定試験問題公開サイト | 中央職業能力開発協会

まとめ

工程設計、刃具・治具仕様検討、NCプログラム作成、デバッグ、試加工・精度出し、測定、日常管理・不良対策の一連の流れを独りで出来るレベルの経験を積んだ製技マンならちょろっと勉強すればペーパーテストは受かると思います。実技もそこまで難しくないので、対策すれば受かるでしょう。なので加工製技(生技)として2,3年経験を積んでいる方の腕試しとしておすすめです。

ランクル70 24V ブロワモーター流用

ランクル70 BJ73のブロワモーター

87104-90K00

 

たまたま新品のXZU304Hダイナのブロワモーター

87104-37110

ヤフオクで手に入ったので合わないか確かめてみた。

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結果、ファンもカプラーも全てポン付け。値段も新品価格で半額くらい。風量は変わらず。

 

Lectron観察

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お友達が「余っているLectronがある」とのことで、お借りして観察することになった。又聞きの2次情報にはなるが、以下のような特徴があるらしい。

使用者の感想

・燃費がいい(倒してもガソリンが溢れない)

・車種、使い方等に合わせてプリセットされた状態で出荷されてくる。そのため違う車種用のものをつけても全く走らない

以下公式情報

・セッティングはニードルの高さ変更と、パワージェットのスクリュを調整するのみ

・標高と気温に影響されにくい

結論

・ガソリンがこぼれにくいのは事実だった

・特に高地補償、温度補償をするようなシステムは見当たらなかった

フロート室

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これは通常のキャブと特に違いはない。ただしフロート固定のピンが圧入のためおいそれと外すことは不可能。フロートバルブが摩耗したらどうするのだろう。

また国産キャブではフロートバルブのお尻にバネがついていて、バルブが締まり切った後、さらに振動等によりフロートが上昇しても安定してバルブを閉じておけるような仕組みになっているのだけど、Lectronにはそれがない。アメリカンである。

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フロート室にはオーバーフローパイプがない。ゴミをタンクに入れるようなポンコツは使うなという割り切った設計。アメリカンである。

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これはどこのご家庭にもあるミクニTMXのフロートチャンバだが、真鍮のオーバーフローパイプがついている。通常バイクを倒したとき等はエアベントチューブからガソリンがこぼれるので、ゴミ噛み等によりフロートバルブが締まり切らなくなった場合等を除きオーバーフローパイプは必要ない。そのため自分のYZでも先端をプライヤーで潰して使っているのだけど、これを見てLectronよろしくハンダで完全に埋めても良いかと思った。

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フロート室のメインノズル回りも国産キャブと大差はない。ノズルが安定してガソリンを吸えるように袴もついている。

メイン系

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話には聞いていたが、本当にメイン系以外何もない。またメインノズルがベンチュリから突き出していないことも衝撃的。壁面の流速はゼロなので、通常のキャブではベンチュリ内壁から少し突き出したところにメインノズルを設けるのが常識なのだけど、Lectronにはそれがない。

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フロート室側を見てもこの通り。メインジェット、メインノズルすらなく、ただボディに直接穿たれた穴を針が出入りするだけの構造となっている。

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この写真はTMX38のメインノズル部の写真である。通常のキャブであればこのようにプライマリーチョークと呼ばれるメインノズルがベンチュリ内に突き出している。ちなみにこのノズルが半割形状でかつ穴が開いているのは燃料の微粒化を促進し、加速時のスロットルレスポンスの向上を狙ったミクニの特許だ(特開2002-349353)。プライマリータイプとエアブリードタイプのメインノズルの違いや使用目的、特性等も分かる資料として優秀なので興味がある人は一読をお勧めする。

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Lectronのノズル部はこのようになっている。これを見るとメインノズルはないものの、メータリングロッド(通常のキャブでいうジェットニードル)の円弧部分が結果的にプライマリーチョークの役割を果たしていそうにも見える。

またTMXの写真にある通り、国産キャブにはスロー系から燃料を供給するアイドルポート、スローポートという小孔があるのだけど、当然Lectronにそんなものは無い。車のような固定ベンチュリだと絶対に成り立たないだろうが、可変ベンチュリかつメーカーで練り上げたプリセットで出荷するのならこれでもよいのかもしれない。

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メータリングロッドは鉄系で、磁石にも着いたのでマルテンサイト系ステンレスか普通の軟鋼と思われる。それに対してニードルと対になり燃料流量をコントロールする穴(通常のキャブでいうメインノズル/エマルジョンチューブ)はアルミダイカスト製ボディに直接開けられており、特にブッシュ等も入っていない。ケーヒンもミクニもニードルのストレート径は1番手あたり10μmの違いしかないので、この方式だと摩耗によって大幅にセットが変わりそうだが、針のテーパーは単一テーパーと思われるし(厳密には違うかも。ストレッチを当てて見る限りは単一に見える)、スロットル全閉時もテーパーがベンチュリ内のポートにかかっているので、ニードル高さをセットしなおせばそれでよいのかもしれない。メータリングロッド高さは通常のキャブのようなクリップ式ではなく、ねじが切られており、1/4回転ずつセットできる。実測したところ1回転で針の高さは0.6mm変化した。

メインエア系

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この写真を見てわかる通り、メイン系にエアを混合するためのメインエア経路も存在しない(右側にある穴はスターター用エア経路)。

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国産キャブでは、メイン系とスロー系それぞれに、燃料の霧化促進と気液混合流にすることで燃料の吸出しを容易にするために、事前に燃料と空気を混合するメインエア経路、スローエア経路が存在する。TMXでは真ん中下側の網がついている部分(この網もミクニ特許)がそれであり、内部でメインエアとスローエアに分かれている。ちなみに右の穴は当該キャブでは未使用ではあるがパワー系用と思われ、左はスターター系のエア経路である。

メインエア経路はエアブリードタイプ(メインノズルにブリード穴が多数空いているタイプ)のキャブの場合、メインノズル下部の液中でガソリンと混合され、気液混合流となってベンチュリ内に噴射される。2サイクル用レーシングキャブに多いプライマリータイプではメインノズルのベンチュリ内吐出口周りに空気を噴出し、燃料の霧化を助けている。

スローエア経路はスロージェット自体に開けられたエアブリード穴でガソリンと混合される。またこのスローエア経路を通るエア流量を制御しているのがエアスクリュである。

説明が長くなったが、要はベンチュリ内に燃料を吹き出す前に、燃料霧化等を目的とした事前のエア混合をする経路がLectronには全く無いのである。

で、だからどうしたといわれると知識が足りなく考察できないので、また思いついたら追記することとして、今は事実のみ書いておくことにする。

パワー系

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パワージェットも国産キャブと仕組みは変わらないが、ソレノイド等はないので、オーバーレブ領域での伸びを目的としたパワージェットカット等はできない。またパワージェット噴射口にスクリュがあり、これで噴射量は変更できる。

スロットルバルブ系

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スロットルにはカッタウェイなし。カッタウェイは角度がつけばつくほど低開度時の燃料流量が抑えられる方向に働くため、スロー系とメイン系の繋がりを調整するために設けられるが、スロー系が存在しないLectronでは必要ないということなのかもしれない。

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メータリングロッド部拡大。おいそれと交換はできなさそう。特殊工具があるのかも?

油面

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LectronとTMXで、油面からベンチュリまでの最短距離を測定してみた。結果Lectronが28.5mm, TMXが13.5mmとなっており、Lectronが異様にガソリンを吸いだす距離が長いことが分かった。

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基本的に単純気化器であれば油面差がなければ吸入空気量に比例してガソリンも吸い出され、一定の空燃比が保たれるように出来ている。ただ油面差hがあるとこの図のように、吸入空気量が少ないときは空燃比が薄く振れるような特性となる。これを防ぐためにエアブリードを設けたりスロー系を設けたりするのだけど、Lectronにはそれがない上に油面差がTMXの倍ほどある。この辺りもカッタウェイのないスロットルバルブでノズルの負圧を高めて帳尻を取っているのかもしれない。

※画像出典 魚住順蔵 他『自動車用気化器の知識と特性』

質量比較

なんとなく重たく感じたのでミクニTMX38と比較してみた。f:id:TUTC_Mitsukesibu:20230512114725j:imagef:id:TUTC_Mitsukesibu:20230512114659j:image

ホースを外してあるので多少インチキだが、TMXが580g, Lectronが660gだった。見るからにボディが肉厚なのでやはりそれなりに重い。

燃費がいい理由について

同じ場所を走ってみて、自分のPWK38装着YZ250Xが7~8km/Lであるのに対して、Lectron装着300EXCが10km/L以上走っていたので、燃費がいいのは事実である。ただ極端に外れたセッティングでない限り、セットでそこまで違いが出るとは思えないので、やはり零している燃料が少ないのだと思う。

そこで実際に検証してみた(ガソリンは危ないので不燃性の液体で)。結果、Lectronはエアベントが1系統しかなく、かつ流路も細いので、傾けたときにエアベントからガソリンが流れにくいことがまず分かった。

TMXは写真の通りエアベントが2系統あり、かつ径が大きいのですぐガソリンがこぼれる。エアベントの目的は、フロートチャンバ内の圧力を大気圧に保つことである。またガソリンが急速に消費されたときに、素早くフロートチャンバ内を大気圧に保ち、フロートバルブからのガソリンの流入を阻害しないことも重要なので、TMXやPWKではこのような2系統になっていると思われる。ただ反面転倒時には急激にガソリンがこぼれていってしまう。

また、Lectronでは油面差が大きいので、90度まで傾けてもベンチュリからガソリンがこぼれてこないことも分かった。かつ、傾けてフロートの片側の浮きにしか浮力がない状態でもフロートバルブを閉じてくれている(ように見える)ので、倒した場合無限にタンクからガソリンが落ちてくるようなこともなさそうである。

この辺りが燃費の良い理由だと思われる。

TMXでも同じ実験をしてみる。基本的に倒れた場合は1番のエアベントからガソリンがこぼれるようになっている。試しに1番のエアベントをふさいで同じように倒してみると、90度倒した場合の油面が2番のチューブの最高点を超えることはないので、エアベントからガソリンがこぼれることはなくなった。ただし油面差がLectronより小さいので、メインノズルからガソリンがこぼれるようになった。ただLectronと同じように、フロートがある程度バルブを閉じてくれているのか、1番のエアベントからガソリンがこぼれるようなダダ漏れ、といった感じではなかったこと、また1番のエアベントをふさがない状態でもメインノズルからはガソリンが多少こぼれることを考えると、別にふさいでしまってもよいような気がしてきた。これはTMXでの実験だがPWKでも仕組みは同じである。チューブをメクラするのは簡単なので、今度試しにふさいで走ってみようと思う。これとオーバーフローパイプのメクラをすれば国産キャブの燃費が劇的に改善するかもしれない。ただエアベントに関しては、ジャンプ等で燃料がフロートチャンバ上側に張り付いた場合でも燃料が速やかに落ちてくることも重要であり、それに関する特許文献も出ているのでネガが出てくる可能性もある。

Appendix

せっかく撮ったので外観写真とTMXとの2ショットを載せておく。
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YZ250X改造

セッティング

・キャブ

3月東北 気温15℃ 標高300m

パワージェットメクラ

油面10.5

SJ48 N3EW-3 MJ178 AS適当

オーバーフローチューブ潰しと曲げ

 

・サス

突き出し8mm

サグ未測定

F COMP 7 TEN6
R COMP7 TEN8 HICOMP 1 1/4

 

最終減速比13-52

 

エンジン関係

WR250F用リザーバータンク

B7B純正クラッチスプリング固定ボルトでバネ倒れ防止

XJ6純正クラッチスプリングでバネレート下げ

V force 3

自作フラホウエイト

BR9用クラッチプレート

5VY用フリクションプレート

BRY用CDI

YPVS 1C3無印純正スプリング

YPVSワッシャー 1枚抜き

シリンダヘッド面研 Xと無印の中間圧縮比

プラグ1mm銅ワッシャー2枚組

サイレンサー長さ50mm詰め

エアクリボックス下の穴2/3塞ぎ

サイドカバーエアダクト塞ぎ

 

車体関係

サイドスタンド跳ね上げ角アップ

サイドスタンド固定ゴムバンド取り付け(VK540用カウル止バンド)

リヤフレ付け根長穴加工してシート下げ

タンクステーとゴムの受け削ってタンク位置下げ

ハンドルストッパー削って切れ角アップ

CRグリップ

ARCアルミブレーキレバー

ZETA FPクラッチレバー

ZETA 30mmローダウン

PRO TAPER COTOUR カーマイケル

ハンドルポストウレタンワッシャ挟み

 

電装関係

YZ250FX純正電動ファン取り付け

シート裏に鉛バッテリー取り付け

 

ガード類

WR250F純正リヤディスクガード

ZETA チェーンガイド

PROTECH GUARDS フォークガード

ENDURO ENGNIEERING アンダーガード

ZETAリンクガード

バレットプルーフ ラジエターガード

ZETA フォークボトムガード

イクラ フロントディスクガード

 

YZ125, 250クラッチ雑感

○MY21 YZ125Xのとき

125は最初は純正レバーにクローズドガードで乗っていて、その後オープンガードに移行すると同時にホルダーは純正のままレバーだけZETAの可倒式に変えた。レバー比も変わらないのか純正より軽くなったり重くなったりすることはない。レバーの形も好みで良い印象だったが、1年100時間ほど使うと可動部のガタが気になってきたので ZETAのクラッチパーチを導入した。これはレバー比を2種類選べるようになっているが、軽い側にしても純正のような軽さにならず少しガッカリ。ワイヤークラッチの場合レバー比以外にもワイヤの取り回しや引き方によって大きく操作力が変化するので、この辺に純正のミソがあるのかもしれない。まあ重くなると言っても元々125のクラッチは超軽いので気にするほどではない。見た目はカッケーのでやってる感はある。値段が油圧クラッチマスターassyより高いのはなんとかして欲しいところ。

YZ純正のホルダーはレバーを触らない状態でのレバーの最大開き位置を調整できるようになっているし、オープンガードで乗っていても一度も破損したことはないのでかなり優秀。このホルダーを使う可倒式レバーで、ZETAより持ちが良い物があれば欲しい。

 

○MY22 YZ250Xのとき

125と違って最初からオープンガードにしたので、純正レバーは操作力確認程度でしか触っていない。最初は値段も手頃だしZAPのクラッチパーチを導入。これはかなりレバー比が大きく、めちゃくちゃに操作力は軽くなるが、当然ハンクラ領域が増えて、全つなぎでちょうど良い位置にセットすると、レバーをいっぱいに握ってもクラッチを切りきれなくなってしまった。この状態で騙し騙し乗っては見たものの、クラッチがスパッと切れないのが想像以上のストレスだと分かったし、少し熱が入っただけで遊びが大きく変化するのには閉口した。という訳で純正ホルダーにZETAレバーという125で実績のある組み合わせに落ち着いている。ちなみにブレーキはARCのアルミを使用しているが、ZETAと違って耐摩耗性が良いのか、60時間使っても未だガタは気にならない。

 

クラッチの遊びが変わる件

125のとき、凶悪なイゴで半クラを使いすぎると、クラッチの遊びが急激に大きくなり、終いにはクラッチが切れなくなる現象もまま起きた。これは熱でフリクションプレートとクラッチプレートが膨張、または変形し、クラッチの総厚が厚くなって、いつもと同じ位置ではプッシュロッドがプレッシャープレートを押せなくなるからだと勝手に理解している(違うかもしれない)。これを防ぐにはとにかく半クラを使いすぎないようにするしかないが、125の薄いトルクではとにかくぶん回して半クラを使うしかない状況も多々ある。またそうやっているうちに手が攣りそうになって、益々クラッチを離せなくなる事による現象の悪化もあった。止まって全てのレバーを離して仕切り直したいが、止まったら終わり、みたいな場所ではそうもいかないので、結局クラッチを酷使する事になる。油圧クラッチという手もあるが、後付けだとゴテゴテするし、トラブルの種が増えることにもなる。肝となる部分はできるだけ純正に近い状態にしておきたい。

一方250では、前述したような徐々に遊びが変化する現象はあるものの、ヒートによる急激な遊びの変化はない。これは125ほどクラッチを酷使しないで済むからだと思う。現在13-52というHEDではワイドよりと思われるギア比で乗っているが、イゴで半クラを多用しないといけない印象はない。この辺りは重フラホ、YPVSガバナの動作タイミング変更、シリンダヘッド改造等によりクラッチを出来るだけ繋いだ状態でも使いやすいエンジンになっている事もあるかもしれない。