キャブレターテスト用フローベンチの製作

目的と背景

TMXやPWKについて文献を読んでなんとなく分かったようなつもりになっていたが、実際に空気量に対するノズル負圧を計算していくと全く分からないことがたくさん出てきた。というわけでこれ以上理屈をこねくり回しても仕方がないと思い、実験装置を作って確かめることにした。

装置概要

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製作する装置の概要図がこちら。バキュームポンプ(掃除機)でキャブレターのエンジン側から負圧を発生させる。上流側にはYZ純正ダクトを取り付け、それをエアクリーナーボックスを模擬したサージタンクに接続。サージタンクにはベンチュリを通して外気を導入する穴があり、ここにマノメーターを取り付けて空気の流量を測定する。キャブレターはフロートチャンバーを外し、メインジェットとパイロットジェットにセンサを取り付けて、負圧の測定を行う。本当はパイロットジェットから先に分岐するパイロットポートとバイパスポートそれぞれ別に負圧を測れると良いのだけど、そこまでするにはキャブを破壊しないといけないので、今回はこれでお茶を濁す

製作

バキュームポンプ

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負圧を発生させるポンプは家庭用100Vの掃除機を使用。自分の家にはマキタのコードレスしか無かったので、友人からもう使用しないという物を調達。軽く掃除をして、圧損をできるだけ小さくするよう紙パックやファルターを外しておく。さらに圧損を減らすため、ホースを中ほどで切断。これでこの掃除機は二度と床の埃を吸うことはなくなり、一生キャブレターを通した昭和の空気を吸い続けてもらうことになる。

マノメーター

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100均で本立てを購入し、これにベニヤ板を両面テープで貼り付け。ここに300mmスケールとホースを取り付ける。事前にサージタンクに取り付けるベンチュリと、排気量と回転数と給気比から割り出した最小と最大の空気量を見積もって、300mmAq以内で測定できることは確かめてあるが、果たしてうまくいくか。

サージタンク

サージタンクはプラスチックのゴミ箱、ダンボール等色々考えたが、たまたま実家から届いたクール便用の発泡スチロール箱があったのでこれを使うことにした。加工性、気密性が良い。ここにYZ純正ダクトを取り付ける。また別の方向から、塩ビ配管用異径ジョイントを二つ組み合わせて作成したベンチュリを取り付け、ここを空気の取り入れ口とした。参考にした論文では、サージタンクに流量係数が既知のオリフィスを取り付けて流量を測定していたのだけど、オリフィスといえば円管内に設置した場合の例しか見たことがなく、この様なパターンでどこで下流側の圧力を測れば良いのか?計る場所によって圧力が大幅に変わらないか?がどうしてもわからなかった。そこでこれも円管内に設置した場合の例しか見たことはないが、ベンチュリで測定することにした。これなら圧力を測る場所には迷わない。不都合があれば上流の直管部分を延長すればかなり正確に測定できるはず。多分。流体に詳しい人に教えて欲しい。

ベンチュリには小径部と大径部にホースニップルを接着剤で貼り付け、マノメーターからのホースを接続できるようにした。

メインノズルとパイロットジェット負圧測定部

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この部分の負圧を測れる水柱マノメーターを作ろうとすると家の天井をぶち破る必要があるため、負圧が測れる圧力センサMIS-2500-015Vを用意した。秋月電子で購入できる。1個1500円もするのでかなり痛いが、メインとパイロットの測定でいちいち付け替えては能率が上がらないので2個購入。これをホースでメインジェット、パイロットジェットに繋げる。センサは5Vで動作するので、5V入力系も適当に作る。あとは出力ピンの電圧をテスターで計測し、換算式に放り込んでやればゲージ負圧がわかることになる。

 

完成

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出来上がった状態はこの通り。ゴリラテープを駆使しまくり非常に不細工だが、試運転したところ大まかには合っている数字がとれたので、とりあえず使い物にはなりそう。

 

後日問題点を改良した記事はこちら

tutc-mitsukesibu.hatenablog.com